
半年前、たまたまスカパーで特集をやっていて、その面白さに真夜中なのに
朝3時まで食いつくように見入ってしまった話題作。「ソーシャルネットワーク」が
公開されたので見に行ってきました。
スカパーでは、映画の内容には一切ふれず、世界最大のSNS「フェイス・ブック」に
音楽ファイル共有ソフトを作り一躍有名になった、あの「ナップスター」の創業者が
関わっていたという話を細かくドキュメンタリーに追っていた。
どちらも、大学生が思いつくままにITを駆使し、起業したという天才ふたり。
スカパーでは、ネット社会の光と闇をとても面白く紹介していた。
この映画、チョー楽しみにしていました。
*ネタバレ100%です。(笑)

<あらすじ>
主人公は、ハーバード大学2年でコンピューターオタクのマーク。
彼女にふられた勢いで、酔いにまかせて、たった一晩で寮の名簿をハッキングし
女子学生の写真を並べてランク付けするサイトを作った。
すると、そのサイトがたった2時間で2万を超えるアクセスに。
違法行為をしたマークには、学校から半年間の観察処分を受け、全女子生徒からは総スカンを食ったのに
ヘコたれないマークは、もう次のアイディアが浮かんでいた。
「みんな、身近な友達のことを知りたがってる!」。
そして、「ネット上の大学の社交場」として生まれたのが
先日、世界の登録者数が5億人を突破したと発表した"Facebook"。
数年以内には、登録者数が10億人に到達する可能性があるとも言われている。
10億人って・・・日本5個分の人口ですよ ? すごっ
今なお急成長を遂げているSNS (ソーシャルネットワークシステム) の誕生の光と闇。
物語は、マークが”Facebook”創設に関して起こされた2つの訴訟について、
発端と経過と顛末がそれぞれ描かれてます。
訴訟の1つは、”Facebook”の原点のアイディアが実は他者のものだったことによる知的財産侵害。
訴訟の2つ目は、、"Facebook"制作の際の資金提供者で、共同創設者であり
親友のエドアルドからのもの。エドアルドはマークの才能も性格も知った上で友達付き合いをし、
マークと共にFacebook立ち上げに「資金提供」という形で尽力したのに
予想だにせぬ形で追いだされることになる。
この映画は実在する人物、天才少年が弱冠26才で億万長者になる光と闇の話。

冒頭10分で、主人公マークの強烈な個性を見る側に見せしめます。
と、とにかく すんごいスピードで物語が進みます。
のっけから、マシンガントークで、早口の長セリフがスタートからラストまで
ずっーーーーーーーーーーーーと続きます。
しかも、早口で長セリフなのは主人公だけじゃない。
出演者のほとんどがそう。
しかも、IT専門用語とビジネス用語オンパレードの早口、長セリフ。
始まって10分でアッという間に作品に引き込まれ、息つくヒマもなく一瞬だって見逃せない。
一瞬でも見逃したら、迷子になるね。(笑)
よかった・・・吹き替えで。これ、字幕だったら絶対追いつかなかった。
この試合、棄権だったよ。
早口マシンガンセリフの応酬で、物語は現在と過去を行ったり来たりするんだもん。
もう、ゆっくり考えるヒマはナッシング。
プログラマーの天才、マークはお金持ちの親友エドアルドに資金提供を求め、
もちろんプログラミングの助けも求める。マークのルームメイトも天才プログラマー。
・・・ってか、ハーバードだもん。天才しかいなんでしょ?(笑)
そうして、仲間と「Facebook」を立ち上げる。
マークの予想通り、瞬く間にFacebookは広がる。拡大するサービス、金の匂いを嗅ぎつけ
群がる大人たち。
あの有名、音楽ファイル共有ソフトの「Napster」の創設者ショーン・パーカー。
ショーンもマーク同様、大学こそハーバードでは無いけれど、大学生でひとりでプログラミングし
会社を起業した天才プログラマーのひとり。
しかし、ショーンは音楽会社に訴えられて敗訴し墜落した天才となる。
ドラッグと女に墜落した天才ショーンが、目ざとくマークを見つけコンタクトをせまる。
そして経営に加わっていく。
墜落した天才「ショーン」の存在を警告し続ける親友エドアルド。
墜落した天才「ショーン」を陶酔するマーク。
少しづつ歯車が狂いだす。
サイト創設にあたり、欲望、野心、プライド、嫉妬、コンプレックスなど
若者なら誰でも持つ感情が大人を巻き込み、社会を巻き込み、そして今も世界を巻き込みつつ
今もなお進行するストーリー。お、面白い !
劇中では、「マーク」と「ショーン」ふたりの天才は「当時好きだった女性をあっと言わせたい」という
キッカケでこの巨大サイトを立ち上げたという設定も面白い。
人間と人間を繋ぐシステムを構築したにも関わらず、
親友を失い、仕事仲間を失い、恋人も失っている様が皮肉的・象徴的で とても興味深い。
莫大の大金を得て、莫大の登録者数を得て、成功を収めていくにつれて、
どことなくザッカーバーグの影が薄くなっている点が印象的でもある。

写真、上部は映画のキャスト 下部は実在の人物。特徴が似ている
この映画、キャスティングも素晴らしかったです。
マーク役のジェシー・アイゼンバーグ、すっごく良かった !
最後まで徹底した無表情でオタクな天才っぷりを見事に演じていて、これから彼の作品に注目したいな。
「アイデアを盗まれた」と訴訟を起こした、ハーバード大の双子役の彼も見事。
ひとり二役を素晴らしい演技で演じてた。
彼の「ハーバード紳士スピリット」がたまらなくシビレタ。
何といっても「Napster」の創設者ショーン・パーカー役のジャスティン・ティンバーレイクが
見事なハマり役だった ! あのチャラ男っぷりは名演技 !
正直、ジャスティンは俳優としてはイマイチ・・と思ってたけれど彼、役者じゃん !と
思わせる素晴らしい演技でした。
ジャスティン自身、グラミーをいくつも獲ってる本物シンガーなのに、あのNapsterのショーン役という
キャスティングも憎い !
親友だったのに、マークを訴えたエドアルド役の彼も最高。イケメンだったぁ~
彼が新スパイダーマンだなんて~ もう~絶対見ちゃう~
ラストでエドアルドがFacebookから追い出されるシーンで ショーンに
「そんなダサい服でうろつくな」と言われ「アルマーニは今、クリーニングなんだよ !」って
涙をこぼし、ツバを飛ばしながら言うセリフ。サイコー。
とにかく天才が集まってて、すごい勢いで作り上げていく会社なんだけれど
やっぱり、ハーバード大の学生であっても、子供なわけで
青臭い若者の愚かさが見事に演出されていてデヴィット・フィンチャー監督の
素晴らしさが出てた作品。
ハーバード大学に選ばれし者しか入れない「クラブ」がいくつもあると初めて知りました。
短い時間に上手く背景を詰め込んだ設定に感嘆しました。
親友のエドアルドは選ばれし者の「クラブ」に入会できたけれど、マークは声すらかからない。
「名門クラブ」も「ネット」もつまるところは人はコネクションを求めるんだよね。
結局、劇中では裁判の途中でフェイドアウトしていく終わり方なんだけれど
ラストシーンで、主人公のマークがPCで自ら立ち上げたFacebookにアクセスし
ふられた彼女のプロフィールに一瞬ためらいながらも「友達申請する」をクリックし
何度も何度も「F5」を押して、申請許可をリロードして待つあの姿にヤラレタ。
劇中では、主人公のマークだけが一切、自分の意思を表さないので
すべてが観る側の推測なんです。
無表情な彼が持つ意思とは? 本当の真意とは ?
実は主人公である「マーク・ザッカーバーグ」からは直接、話を聞くことは出来なかったらしい。
脚本家がマークにコンタクトを取ったが取材を拒否されたとか。
なので、この話は2つ目の訴訟を起こした「元、親友」のエドアルドが語ったたモノだということを
映画を観終わってから知りました。
後半の作中の中で、弁護士が「人が語る証言の85%は誇張で出来ていて、残りの15%は虚偽である」
と言うセリフに、この作品の意味も含まれてる気がしました。
だからこそ、マーク・ザッカーバーグ本人が語る真実が知りたい !

今や、日本でも定着しているSNS。「mixi」や「GREE」「モバゲー」が有名だけれど
Facebookの方針としては「実名を推進する」ところからも、
彼らのスタンスは一貫して「あなたは誰か」というのを公開することを重要視していることが伺えます。
そこには「顔写真」という大切なポイントも。匿名性が国民性な日本に浸透するかは疑問。
これは、文化の違いだと思う。
私も以前、少しだけGREEに登録したことがあったけれど、別に友達が欲しくて入会したわけでは
ないのに、ゲームをクリアするのには仲間が必要とか、
より良いアイテムを入手するのに友人の協力が必要とか、ワケわからないシステムにウンザリして
すぐに退会してしまいました。
私は、ネットではブログでもツイッターでも、情報が欲しいのであって人との関わりがメインな
わけでは無かったのです。
もちろん人との関わりは大切にしたいけれど、私には合ってなかったんでしょう。
日本で考えるよりも遥かにアメリカ、ヨーロッパでのFacebookの影響力は凄まじいものがあるようです。
今や会社の就職にFacebookは無くてはならないものだそうです。
会社の上司である50代のドイツ人もFacebookに登録していると聞きました。
マークを許しているかどうかは不明ですが、それでもマークをふった彼女ですら
使わなくてはならないツールにFacebookがなっている、という演出も意味が深いように思えます。

今回は、仕事帰りに自宅に近い映画館のレイトショーにギリギリで飛び込みました。
な、なんと観客ゼロ。
平日だけれどさ・・・映画館を貸し切りで観たのは初めてです。(汗)
とにかく寒くて、途中震えがくるほど寒かった。(笑)
ゴールデングローブ賞4冠を獲った話題作なのに・・・
さすが田舎だわ~と これまた別の感動。(笑)

この映画、評価が大きく分かれる映画な気がします。
IT専門用語はもちろん、ビジネス用語も知っていた方が全然楽しめると思います。
どちらも知らない私は、これから勉強してもう一回観たいと思います。(笑)
そして、大切なポイントは「吹き替え」。
何度も言うように、専門用語の超マシンガントークですから。超長セリフですから。
ここまで、すごいセリフは私は初めてです。
でも、さすがデヴィッド・フィンチャー監督で、専門用語を知らない人でも
楽しめるようになっていると思います。
予想外に映像も良かったです。エンドロールの音楽もシビレました。
どうやらこの映画の音楽担当者も注目を集めてるようですね。